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わんこ × リハビリ

『リハビリテーション』という言葉の意味は多様です。

 

 

 

決して医療に特化した概念ではなく、身分・地位・権利・役割・信頼など様々な意図で使用されます。

 

 

 

このリハビリテーションという言葉は、主に「復権」「再建」「回復」など、元の状態に戻すような意味合いで活用されることが多く見受けられます。

 

 

 

その対象となったのは、「障がいを持つ人々」でした。

 

 

 

障がいを持つ人々が社会の一員となって暮らしていたという証拠は、紀元前の資料から確認されています。

 

 

 

文明の発達とともに歴史の中では差別や迫害を受けることもしばしばありましたが、19世紀以降の近代において、全人的な個人の尊厳を重視した考えが主流となり、リハビリテーションの概念は急速に発展していきます。

 

 

 

第二次大戦後から傷病者の回復を援助するため、医学的リハビリテーションに注力をすることとなり、身体機能や能力向上に着目した理学療法・作業療法が医療として定着し、リハビリテーション専門職が登場します。

 

 

 

また、目や耳の障がいを持つ方にも就業する訓練を行う職業的リハビリテーション、発達に障がいを持つ子供に対する教育的リハビリテーション、様々な障害を持つ方が社会に参画できるように支援する社会的リハビリテーションなど他分野に拡がっています。

 

 

 

このようなリハビリテーションの概念の多様化の中で、近年では個々の生活の質(QOL)を追求するようになっています。

 

 

 

それにより、治癒不能の障がいがあっても、有する能力に応じて自立した生活を営み、それぞれの役割を遂行できるように努めることが求められています。

 

 

 

そこで障壁となるのは、機能障害だけでなく、社会の態度(社会環境)が大きな障壁となります。

 

 

 

バリアフリーなどの社会環境の変容は、その障壁を取り除く活動の結果です。

 

 

 

 

 

 

 

さて、話を「わんこ×リハビリ」に戻します。

 

 

 

犬が病気やケガを負ったとき、リハビリテーションとして何が必要でしょうか?

 

 

 

その犬の障がいを受け入れつつ、できる限り機能・能力の回復に努め、自立した生活を援助し、飼い主とともに過ごす役割をもう一度獲得するように努めることが必要だと考えます。

 

 

 

私見となりますがそこで重要なのは、

「飼い主が想う愛犬の生涯」です。

 

 

 

突然病気やケガを負ってしまった愛犬や、徐々に弱っていく愛犬を見るのは辛い気持ちで胸がいっぱいになりがちです。

 

 

 

ですが、今後の愛犬の生涯を決めるのは飼い主さんの想い次第です。

 

 

 

私たちリハビリに関わる支援者は、その想いに寄り添いできる限りの援助を行います。

 

 

 

遠慮なく頼ってください。

 

 

 

 

 

 

 

今後、動物に対するリハビリテーションに関わる人々が、本来在るべき動物の姿・状況を思い浮かべ、共生する者として在るべき対応を模索して下さることを是非期待したいと思います。

 

 

 

動物のためのリハビリ・介護の施設や物品の充実、道路や公共施設などの環境面の整備、人々が動物を受け入れる姿勢などが徐々に発展すると信じています。

 

 

 

そして、障がいを持った動物が安心して暮らせる社会が、近い将来に実現することを願っています。